熊四拾六号／東海HIT新社屋新築工事

［2010.11竣工］
富士の眺めが美しい富士宮から世界へ発信している医療器具メーカー、東海HIT新社屋の設計です。数々のアイデアで革新的な医療機器を発明しているそのクリエーションは製作会社の枠を超えた大学研究機関であり、そのアイデンティティーを表現する建築の在り方を模索しました。

生物を検視する発明など生命に関わる製品性を表現するメタファーとして、木造による有機的素材で構成された建築、そして現代木造の最新技術による木質ラーメン構造HS工法を採用して、柔らかくそして現代的な木質モダニズム建築を実現しました。又、熊工房が探求する音楽建築に大変興味をいただきクライアントからの音による演出をオーダーいただきました。

2階のメインフロアーの湾曲した天井は、室の音響効果に配慮するとともに、富士宮からの富士山の稜線（富士宮カーブと命名）に合わせた形状としています。これにより、柱に設置されたスピーカーの反射音が天井から拡散し、音場を立った時に聞こえるようにゾーニングすることで、デスクワークでは音楽がじゃまにならず、歩いたときに気分が切り替わるようにして、生産性を高める演出を試みました。

エントランスホールや組み立て室にも設置した無志向スピーカーから快い音楽が響くように配慮されています。会議室では映像用のアーチドアレイスピーカーにより、より鮮明な映像プレゼンが可能になっています。東海HITは現代木造によるワークスペース初の音楽建築になりました。

屋根勾配は太陽光パネルの実装に配慮し、100V電源については100％太陽光可動を実現しています。2階オフィスの外付けアルミルーバーは日照量に合わせて自動可動します。夏場の採光量を調整し、湾曲した天井内に換気用ファンを内蔵させて動力を太陽電源で室内のベンチレーションをコントロールしています。